前回の記事で紹介した通り、助走局面での最優先課題は、
「踏切時に最高速度を出せる助走」です。
では何故、最高速度を出すことが大切なのか。
一緒に考えていきましょう。
エネルギーから考える棒高跳
物理の教科書で棒高跳が紹介されているのを見たことはありませんか。
普段練習しているスポーツが、堅苦しい物理の教科書に載っていると
少し不思議な感じがしますね。
私たちが普段がむしゃらに行っているスポーツのパフォーマンスは、
全てスポーツバイオメカニクスなどの科学で分析できます。
中でも棒高跳は、そのイメージの容易さから教科書で取り扱われているのではないでしょうか。
棒高跳はエネルギーの観点からパフォーマンスを説明できます。
私たちは、ポールに蓄えたエネルギーで高さを出しているのです。
①助走、②踏切、③空中動作で発生させた運動エネルギーを、
弾性エネルギーとしてポールに蓄え、
さらにバーを越えるため、高さという位置エネルギー(&運動エネルギー)へと変換しているのです。
下に図でまとめます。

助走で生み出すエネルギー
上記のエネルギーからの視点を持つと、踏切時の速度の重要性が分かります。
最終的に高さ(=位置エネルギー)を出すには、踏切速度による運動エネルギーが必要だからです。
実際、棒高跳のパフォーマンス分析をした論文では、
踏切足接地時速度&踏切足離地時速度が高いほど、最大重心高が高かった
ことが確認されています(武田ほか, 2006)。
簡潔に表すと、踏切速度が高いほど跳躍高が高いことが確認されています。
高い踏切速度を出すには、その前段階の助走で高い速度を出しておく必要があります。
まとめ
今回はエネルギ―の観点から、助走速度の重要性を確認しました。
注意点として、
助走局面では、その後の踏切や空中に繋げる準備も必要です。
「高い助走速度」と「踏切局面(プラント&踏切)に繋げる」
この課題を達成するため、
助走に流れを持たせることが重要です。
この助走の流れについては、別の記事で紹介します。
全ての動作は流れによって決まります。
参考文献
武田理, et al. “男子棒高跳における重心水平速度変化およびポール湾曲度.” Bulletin of Studies 2 (2006).
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